贈る心を包む:知っておきたい「熨斗(のし)」のすべて

日本の贈答文化において、単なる包装を超えた深い意味を持つのが「熨斗(のし)」です。ご祝儀袋や進物にかける「のし紙」の右上にある飾り、あるいは水引の結び方全体を指すこともあります。

このコラムでは、熨斗の起源から、目的に合わせた正しい選び方まで、知っておくべき知識を網羅的に解説します。

 

🇯🇵 熨斗とは何か? その起源と役割

 

「熨斗」とは、もともと「熨斗鮑(のしあわび)」を略したものです。

昔、神様へのお供物や不老長寿の妙薬とされていた鮑を、薄く剥いで干し、細長く伸ばしたものを贈り物に添える習慣がありました。これが転じて、進物が生臭いものではない(殺生をしていない)ことを示す印、または、縁起物として「延命長寿」や「魔除け」の意味を込めて添えられるようになりました。

現在、私たちが目にする熨斗は、この干し鮑を模して、紙で折られた飾りや、のし紙に印刷された絵柄が一般的です。

 

🎀 熨斗の主役:水引(みずひき)の結び方とその意味

 

熨斗を選ぶ上で最も重要となるのが、中央を飾る「水引(みずひき)」の選び方です。水引の色、本数、そして何よりも「結び方」には、贈答の目的や気持ちが込められています。

水引の基本色は「紅白」ですが、慶事・弔事・その他で使い分けが必要です。

目的 主な水引の色 本数 結び方
慶事(一般) 紅白・金銀 5本・7本 蝶結び(花結び)
慶事(婚礼) 紅白・金銀 10本 結び切り
弔事 黒白・黄白 2本・4本・6本 結び切り・あわじ(あわび)結び

1. 蝶結び(花結び)

 

  • 特徴: 結び目を簡単にほどいたり、結び直したりできる形です。

  • 意味:何度でも繰り返したい」という願いを込めて使われます。

  • 用途: 出産祝い、お年玉、入学祝い、長寿祝い、お中元・お歳暮など、繰り返しても良いお祝い事全般に使用します。

 

2. 結び切り

 

  • 特徴: 一度結ぶと簡単にはほどけない、固く結ばれた形です。

  • 意味:二度と繰り返さない」という強い願いを込めて使われます。

  • 用途:

    • 婚礼: 「二度とないように」という願いから、必ず10本の金銀または紅白の結び切りを使用します。

    • 快気祝い・弔事: 病気や不幸が「二度と起こらないように」という願いを込めて使用します。

 

3. あわじ結び(あわび結び)

 

  • 特徴: 結び切りの一種で、両端を引っ張るとさらに強く結ばれる、複雑で美しい形です。

  • 意味:末永いお付き合い」や「長寿」を願う意味があり、両端を持って引っ張ると結び目が固くなることから、「固く結ばれて離れない」という意味も持ちます。

  • 用途: 関西地方を中心に、婚礼やお見舞い、弔事など、慶弔問わず広く使用されます。特に近年では、結び切りよりもモダンな印象があり人気です。


 

📄 熨斗紙(のしがみ)の構成と表書きのルール

 

熨斗や水引が印刷された包み紙を「熨斗紙」と呼びます。

 

1. 熨斗紙の構成要素

熨斗紙は主に以下の3つの要素で構成されています。

  1. 熨斗(のし): 右上に印刷された、折られた紙の飾り。

  2. 水引(みずひき): 中央の飾り紐。結び方と色が重要。

  3. 表書き(おもてがき): 水引の上段に書かれる献辞(目的)。

 

2. 表書き(上段)の書き方

 

水引の上の部分には、贈り物の「目的」を記します。

目的 表書きの例 結び方
出産・新築・一般祝い 御祝、御出産御祝、内祝 蝶結び
婚礼 御結婚御祝、寿 結び切り(10本)
お見舞い 御見舞 結び切り
快気祝い 快気祝 結び切り
弔事(仏式) 御霊前(四十九日前)、御仏前(四十九日後) 結び切り(黒白)
弔事(神式・キリスト教式) 御玉串料、御花料 結び切り(黒白)

 

3. 氏名(下段)の書き方

 

水引の下の部分には、贈り主の「氏名」を記します。

  • 個人: 表書きよりもやや小さめの文字で、フルネームを中央に書きます。

  • 連名(夫婦): 右に夫、左に妻の氏名を並べます。

  • 連名(友人など): 地位や年齢が高い人から右から順に氏名を並べます。

  • 会社: 中央に代表者の氏名を書き、その右上に役職名や会社名を小さく書きます。

 

🔄 内のしと外のし:使い分けのポイント

 

熨斗紙を品物にかける方法には、「内のし」と「外のし」の2種類があり、使い分けにも意味があります。

 

1. 内のし(うちのし)

  • かけ方: 品物に直接のし紙をかけ、その上から包装紙で包みます。

  • 特徴: 表書きや名前が外から見えない。

  • 用途: 控えめに贈りたい場合や、内祝い(お返し)など。配送する際にも、のし紙が汚れたり破れたりするのを防げます。

 

2. 外のし(そとのし)

  • かけ方: 品物を包装紙で包んだ上から、のし紙をかけます。

  • 特徴: 表書きや名前が外から一目でわかる。

  • 用途: 贈り物の目的を明確に伝えたい場合や、持参して手渡す場合。結婚や出産など、盛大なお祝い事によく用いられます。

 

⚠️ 絶対に間違えてはいけないタブー

 

最後に、贈答マナーで絶対に避けるべきタブーを理解しておきましょう。

  1. 水引の使い分けを間違える:

    • 弔事用の黒白・黄白の結び切りを、出産祝いや新築祝いなどの慶事に使うのは厳禁です。

    • 婚礼に「蝶結び」は絶対に使ってはいけません。

  2. のし飾りの有無:

    • 熨斗飾りは「生ものを添えない」という意味を持つため、鮮魚、精肉などの生ものや、仏事・弔事には熨斗飾りがあるもの(のし紙)は使用しません。弔事には水引だけの「掛紙(かけがみ)」を使用します。

心を込めて選んだ品物だからこそ、正しい熨斗を添えて、気持ちをしっかりとお相手に伝えることが大切です。

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